図書室から~本の紹介~
投稿日: 2026年7月17日
図書室から~本の紹介~
『もりのかくれんぼう』 末吉 暁子 作 林 明子 絵 偕成社
先日、絵本作家である林明子さんの訃報を新聞記事で知りました。林明子さんの描く作品は、いつも子どもの頃の情景と共に鮮明に浮かんできます。
代表作の一つである、『もりのかくれんぼう』。公園で遊んだ帰り道、金色に煙ったような秋の森に迷いこんだ、けいこは、動物たちと「もりのかくれんぼう」とかくれんぼをして遊びます。楽しいひとときの後、夢なのか、動物たちの追憶なのか、全てが謎に包まれたような不思議な終焉を迎える作品です。
幼少期の私は、この作品に出てくる「かくれんぼう」が大好きで、自分もどこかの森の入り口から誘われて、「かくれんぼう」に会えないかなと思っていたことを思い出します。林明子さんは、子どもの表情や感情を写実的に描くため、その人物が幻想的な世界に落とし込まれた時に、全てが作り物ではなく、現実に起こったことなのではないかと錯覚させてしまう力があります。それは、本への没入度を高め、大人になっても、自分の子どもの頃の風景や感情と重なり続けます。
自分の子どもの頃の風景を描くとしたら、林明子さんの絵が一番ぴったりくる、そんな作品を沢山この時代に送り出してくださったことを、心から幸せに思います。
