図書室から~本の紹介~
投稿日: 2025年12月19日
図書室から~本の紹介~
『となりの火星人』工藤 純子 作 講談社
「空気をよむ」のが苦手で、自分の発言によって周囲の空気を重くしてしまう、かえで。勉強が苦手で理解や行動がゆっくりな、湊。進路でつまずき、そのことを弟のせいにしてしまう、聡。腹が立つと物に当たるのをやめられない、和樹。ショックなことがあると、叫びたい衝動を押さえられない、美咲。それぞれが、周囲に「困った子」と思われていると感じ、疎外感を抱えています。しかし、本当は「困った子」ではなくて、自分たちが「困っている子」であることにも気付かずに。
この本のタイトルが『となりの火星人』であるように、それぞれの登場人物は、自分たちのことを、「地球人」ではなく、「火星人」のようだと感じています。この物語での「火星人」には、異世界に住む、理解し難い生き物という概念が含まれていますが、「火星」がその文字の印象とは異なり、平均気温はマイナス55度と大変低いことから、印象と本質は異なることもあるというメッセージを作者はこの本の中で提示しています。
自分や、相手を印象で決めつけてしまうことが、自分も相手も苦しめ、理解することを困難にしているのかもしれません。「地球人」であり「火星人」でもある、全ての人に向けて描かれた作品です。
