特色ある教育活動の研究(はぐくみ活動)

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1目標

自覚的に自己を形成する人間学校の実現をめざして次のような子どもを育てる。

  • (1)やさしい心をもつ子ども・・・・・・「愛」
  • (2)体力と気力があり,たくましく生きぬく子ども・・・・・・「生」
  • (3)創造的知性をもつ子ども・・・・・・「創」

2組織・内容

  • (1)学級はぐくみ
    学級における諸活動
  • (2)学年はぐくみ
    遠足,修学旅行,野外学習など
  • (3)全校はぐくみ
    オリエンテーリング,体育大会のがんばる輪,送別行事など
  • (4)合同はぐくみ
    4・5・6年生による興味・関心を追求する活動<クラブ活動>
    (前期は5・6年,後期は4・5年)

3愛・生・創

(平成24年度 はぐくみ誌 第一号 巻頭言「愛・生・創」〈白石〉 より掲載)

 六年生は朝早く登校し、学級単位で三種の活動を行っている。一つは「愛」の活動。玄関ホールに雑巾がけをする子どもあり、入り口で挨拶に立つ子どもあり、草抜きをする子どもあり…。思い思いの学校内でのボランティア活動である。もう一つは「生」の活動。生き生きと体を動かし健康体をつくる活動である。例えば縄跳びやマラソン、ドッジボール。後の一つが「創」の活動。創造的知性を磨く自学。読書する子どもが多いが、算数の問題など、それぞれの興味・課題への挑戦の活動である。このような取組は、もう十数年間続けられており、始業前の活動とはいえ、本校の特色ある教育活動の一つとなっている。

 では、この愛・生・創の考え方は、いったいいつ、どのような経緯で生まれたのか。温故知新。故きを温ねることで、今後の取組の有り様が変わってくる。

 昭和五十四年、「創造力を育て、主体的に行動でき、未来に生きぬく力を育てる場」として「はぐくみの時間」が誕生する。学習指導要領が改訂され、「ゆとりと充実」がその目玉であった。翌五十五年、はぐくみの時間の中で行われる「はぐくみ活動」のねらいが一層明確にされる。長くなるが引用する。

2  はぐくみ活動のねらい

自覚的に自己を形成する人間学校としての本校は、ゆとりの時間を量的時間的なゆとりをさすものとは考えず、自ら求めて、ものごとに創造的に情熱をもって取り組むその側面にみられる質的心的なもの、即ち、よろこびであり、小さな自信であるとし、次のそれにかかわるものと考える。

1  「愛」をはぐくむ
ともに自己の尊厳を認め合い、自他を愛する姿、子供はどの子も愛のある学校生活の中に安定した状況を得る。愛は、また博愛であり、克己であり、畏れであり、自然愛であり、母校愛である。その「愛」のこころを自らの中に育む。

2  「生」をはぐくむ
「生」とは、生きぬく力である。バイタリティであり、活力であり、自らを自覚していく力である。体と体のぶつかりあいの中から体得する力であり、ものごとに熱中し、あるいは歯をくいしばってやりぬく気力であり、強靱な意志でもある。

3  「創」をはぐくむ
自覚的自己形成における教育の三大原理は、自主・共同・創造である。とりわけ、創造的知性の開発は、教育の根源である。はぐくみ活動においても命がけで求めようとする。
  これらのねらいに基づく活動計画の立案に当たっては、それぞれに達成できるものであること、家庭でも発展的に取り組めるものであること、自分でできること、教え合い、ふれあいのあることなどに留意する。それは、できるよろこびや、ほのかな自信をもつからであり、自信は即ち精神的ゆとりの極みである。

(昭和五十五年はぐくみ誌 第2号より)

 また、このようなねらいを定めることに係る「本校児童の実態とその考察」には次のような記述がある。

「自覚的自己創造をめざす本校児童の特長はどうであるか。教育実習生の率直な感想をもとに考察すると、その長所は、『能動的、積極的、活発、明朗、はきはきしている。ものおじしない。のびのびしている。個性的である。探求心が強い』などとなる。短所は『友達に対して思いやりの心に欠ける。バイタリティに乏しい。物を大切にしない。権利を強く主張し、自己中心的である』などとなる。本校の児童は、愛の心、活力に乏しいのである。これらの特長は、学校教育の欠如に因るものとは言い難い。長時間通学の問題、通学方法の問題、時代の既製品指向の問題、自由校区制から起こる地域の子供との肌のふれあいの欠如、上級生下級生をひっくるめた縦関係の欠如等種々であろう。しかし、それだからこそ、心して取り組まなければならない教育問題なのである。」

(昭和五十五年教官会議資料)

 こうした記録からも、愛・生・創が創出された理由が読み取れる。戦後、先輩諸氏は新(真)教育を探求し、「人間学校の理念」として結実させ、以来本校教育の原理(不易)として常にそこより具体を導いてきた。この愛・生・創もそのようにして導かれ、子どもたちを育む指標となったのである。

 当時から今日に至るまで、三十二年が経過しており、社会の状況や学校教育のあり方も随分と変化してきた。平成二年頃だったか、バブルが崩壊。学校は平成四年から第二土曜日が休みとなり、二年後には第四土曜日も休業日となる。平成十四年度からは完全週五日に移行し、総合的な学習の時間が登場する。授業内容、時数ともに大幅な削減がされた。そして、昨年度からは内容、時数ともに拡大された。

 愛・生・創の活動の場は、教育の枠組みの変化に応じて変わった。今、六学年は始業前の自主的活動を、愛・生・創の活動の時間として行っている。また、本校の教育活動の内、特別活動(行事、児童会活動、クラブ活動、学級活動)において、「〇〇はぐくみ」という名前で、子どもたちの愛・生・創を育む活動を行っている。その目指すものは次の通り。

1 やさしい心をもつ子ども・・・「愛」

2 体力と気力のある、たくましく生きぬく力をもつ子ども・・・「生」

3 創造的知性をもつ子ども・・・「創」

 今後、 形は変わるかも知れないが、継承していくべき理念であり、活動であると考える。